1月29日・30日の2日間、都市生活コミュニティセンターの林佳子理事長と福田和昭事務局長が、山形県米沢市で避難者支援活動を続けているボランティア山形と生活クラブやまがたを訪問しました。
米沢市は約1000世帯・3000人の方々が避難しています。今回は県外避難者の実情と支援活動の様子を伺ってきました。
●米沢市避難者支援センター「おいで」訪問
「おいで」は、米沢市が東日本大震災の避難者支援のため、2011年6月に設置されました。「おいで」は避難された方のくつろぎの場としての役割の他、情報提供・交換や相談窓口にもなっています(下写真)。避難された方もここの職員として働いています。
今回はボランティア山形の紹介で、センター長の加藤一博さんと、事務長の上野寛さんに、県外避難者の現状を伺いました。上野さんは福島県からの避難者で、昨年2月の「東北応援ツアー」での交流会以来1年ぶりの再会でした。
◎センター長の加藤さんから
・「子どもを何度も転校させたくない」という悩みを抱えている家族。せめて子どもが中学までは避難先で過ごさせたい。
・若い方も避難している。妊娠中の母親が、雪で転倒するのが恐いので家に閉じこもりがちになる。
・12月からお父さんが交流する機会として「パパ会」を開催している。・避難元の福島県や市町村からもっと支援があれば良いのだが。
◎事務長の上野寛さんから
・昨春から今まで避難者を一番悩ませたのは住居の問題。先の見通しがないのに、居住期限(当初2年+延長1年)だけ決められてしまう不安。おそらく延長措置は取られると思うが、確定ではないので安心して住めない。
・住み替えが自由に出来ない不便さ。現在住んでいる住宅は、避難当初に米沢の情報が何もないまま、不動産屋で紹介されたままに決めてしまった人が多い。家族が多いのに二間程度のアパートに住んでいる世帯もいる。しかし現在の制度では一度住んだ借り上げアパートから転居することができない。山形県、福島県、宮城県の知事から共同で国に要望を上げたが、国は動いてくれない。
・福島県が独自に18歳未満の子どもの医療費を無償化する制度を設けている。けれども、対象となるのは住民票を福島県内に置いている人のみ。普段の生活は住民票を避難先に移した方が都合の良いことも多いのだが、子どもの医療と天秤にかけざるを得ない苦悩。
・とにかく福島県が何をやっているのかが伝わってこない。県外に避難した人は忘れ去られてしまったのではないかとすら思う。
● 「お茶会」参加
毎週水曜日の午前中に、万世コミュニティセンター(下写真)で県外避難者対象の「お茶会」が開催されています。2011年4月に、米沢に避難された方たちが出会う場所としてはじまりました。
中心となっているのは、「生活クラブやまがた」監事の石田さんや理事の澤田さん。現在は近くのお寺のお坊さんや、地域の子育てグループの方々もメンバーに加わっています。お坊さんは会場設営の力仕事、子育てグループの方々は子どもの遊び場コーナーと、それぞれの持ち味を生かしながら運営しています。
当初は石田さん達だけで机運びやお茶の用意などの力仕事が毎週大変だったけど、今ではボランティアの方達が増えて少し楽になったと言われていました。
今回参加されていた避難者は7〜8組ほどの親子で、いずれも未就園児のお子さん連れの若い母親。いつもはこの倍ほどの人数が参加されていて、多い時は40人に達することもあったそう。
参加者も世代交代し、当初の子どもさん達は幼稚園に行ったりして、メンバーが変わってきているそうです。
参加者は子どもを連れて来て、近所の人達なのかわきあいあいと話しが弾んでいるようでした。
子ども達は隣の部屋でおもちゃで遊んでもらい走り回っていました。やはりお母さん達の最大の悩みは何時まで借り上げアパートに居られるのか、のようでした。
事務長の上野さんに年度末になるので本当にまだ居れるのか聞いていました。上野さんが「2014年3月までは大丈夫だよ!」と言って仕事に帰って行かれるのがとても印象的です。
福島県の職員も(県生活環境部避難者支援課の職員が出向)が来ていらっしゃいましたが、避難者の方達と話しするでもなくボランティアの方と少し話しておられたので、「この現状をしっかり見て、避難者から聞いて、福島県に持って帰り福島県で話し合い国に挙げて早く何とかしないとこのままではいけない!全国の人達は今福島県の職員のすること見ていますよ!!」と励ましてきました。
(都市生活コミュニティセンター理事長 林佳子/事務局長 福田和昭)
◆阪神・淡路から18年
阪神・淡路大震災から1月17日で18年目を迎えました。
この18年を振り返れば、生活クラブ都市生活の呼びかけで地元の組合員がポートアイランド仮設住宅の救援活動を開始したのが1995年6月。
全国の友好生協から戴いた温かいカンパを活動資金に、当時の都市生活現地救援本部(現:都市生活コミュニティセンター)の全面協力によって買い物に不便な暮らしの助けになればとスタートした救援青空市は仮設住宅が解消する1999年3月まで4年間続けました。
そして6月、仮設住宅でやっと培ったコミュニティの絆が再び寸断され、またゼロから生活を築いていかなければならない被災高齢者の方たちのお役に立てれば!との想いから、ポーアイ仮設の多くの方が引っ越されたHAT神戸脇の浜復興住宅で“出会いと交流の場の提供”を目的とした「ふれあい喫茶」をスタートさせました。
◆14年目の「すまいる喫茶」
その「すまいる喫茶」も早いもので14年!毎週水曜日開店の「すまいる喫茶」には20名前後の常連の方々が集まって下さいます。スタッフの孫や子どものすまいるっ子たちは幼稚園や学校が休みになると集まりいつものゆったり流れる時間が一変し、明るい賑やか喫茶になり、常連のお客様も「ちょっと見ない間に大き〜なったなぁー」と目を細めて見守って下さいます(左下写真)。
14年間で培われた繋がりは数知れずあり、スタッフとして関わって下さった方、健康チェックに来て下さるろっこう医療生協東雲診療所の看護師さんや神戸大生を中心とした学生たちの応援など、これまでたくさんの人たちの絆に支えられて継続してきました。来られる方たちは毎週のすまいる喫茶をとても楽しみにして下さっています。そして私たちスタッフも常連の皆さんにお会いするのを楽しみにしているのです。
ですが、時々起こるスタッフ不足や活動資金などの問題があったり、私も14年歳を取り、この活動もいつまで続けられるのだろうか、と考えるようになりました。自分自身のこれからの事もそろそろ考えなくてはいけない時期に差し掛かってきています。
◆東日本大震災
そんな時、東日本大震災が発生!そして決して起こしてはならない原発事故が起こってしまい、私のふるさと福島を想わない日はありません。
あの日から私の中で更なるボランティアの心が高まり、被災地に向けて出来る限りの事をして行こう!と思い続けています。今も何が出来るだろう、何をしていけばいいのだろうと迷い、想いを巡らせています。
私の18年の活動の原点に立ち返れば、困っている方たちの少しでも役に立てればとの想いから始めた活動です。相手に寄り添い、少しでもホッとして笑顔になっていただきたい!その想いはスタート当初から変わっていません。もしかしたらそれ以上に強くなっているかも知れません。
◆県外避難者支援
今私の一番の気がかりは避難ママたちの事、そしてその心の声を聴く!事です※1。ある時、避難ママの辛くて悲しくて迷っている胸の内を知る機会がありました。解ってはいるつもりでしたが、まだまだ足りなかった事を思い知らされたのです。
避難ママたちは今自分が子どもを守らなければ、あの時しておけば良かった、と思っても取り返しのつかない後悔はしたくない!という必死の想いでの行動なのです。
避難ママたちが心の重荷を吐き出し何でも胸の内を話し出来て少しでもホッとしてもらえる、そんなしゃべり場活動をしていかなければ、と強く思い始めています。
(※1:TCCでは県外避難者を支援するリフレッシュカフェを実施=前頁)
ふれあい喫茶活動、そしてしゃべり場活動、この2つの活動をどうしていけばいいかと迷い、考えながら前に進んで行こうと思っています。同じように想われる方がいらっしゃいましたら共に考え、迷いながら一緒に進みませんか?
(都市生活コミュニティセンター理事/ボランティアグループすまいる代表 岡部眞紀子)
東日本大震災で東北・関東から関西に避難した方を対象に開催しているリフレッシュカフェ。12月はクリスマス会として企画し、会場の西宮市市民交流センターには、6組13人の親子が集まりました。生活クラブの消費材を使って、みんなでケーキやサンドイッチを作るなど、楽しい時を過ごしながら、互いの近況や甲状腺の健診など、医療情報を交換されていました。
震災から1年10ヶ月を経て、避難された方々も関西で仕事を始めるなど、状況は徐々に変化しています。また子どもが思いっきり遊べる環境が少ないといった声も聞いています。
年明けからはこうした避難者のニーズに応えて、子どもの遊び場を提供する内容に組み替えて、支援活動を続けていく予定です。
昨年は都市生活コミュニティセンターの両輪と言えるボランティア部門(災害支援活動含む)・介護保険事業に取り組んでまいりました。
特に災害支援活動では多くの組合員の方たちから寄せられたカンパをもとに生活クラブふくしまの組合員家族を招いてのリフレッシュツアーを昨年に引き続き行いました。屋外でのびのびと遊べない子供達を案じての企画です。神戸や淡路島で屈託なく遊ぶ福島の子どもたちの笑顔を見ながら、やって良かったと思うと同時に、何とも言えぬやるせない思いに涙しました。
また県外避難者の方たちへのリフレッシュカフェ(茶話会)では、西宮市や尼崎市に母子避難されている方々の窮状を目の当たりにし、無力感に胸がしめつけられる思いもしました。
一方、小躍りするくらい嬉しい報告もありました。福島県の仮設住宅で生活クラブふくしまが行っている救援青空市に生産者の方達の協力を得て支援物資を毎月送っているのですが、その青空市が仮設住宅住民のコミュニティ作りに役立っているというのです。
介護保険事業については、制度の変更で、依然として先行きは不透明な状況が続いています。しかし「あしすと」のメンバーは元気です。他のヘルパーステーションにないヘルパー目指して日々勉学し活動しています。
シニアサポート型賃貸マンション「ソーシャルコート神戸北」でも、入居されている方々の日々の暮らしを「あしすと」ならではのきめ細かいケアサポートをしています。
昨年末には戦後最低記録の投票率でバタバタと政権が交代し新年度を迎えました。混迷するこの時代に団塊の世代が高齢者の仲間入りするようになり、この先安心して暮らすことができるのか不安が募ります。御多分に漏れず私もそのひとりです。
そこで都市生活コミュニティセンターでは今年、たすけあいの仕組みとしてのネットワークづくりを積極的に模索していきたいと考えています。安心して暮らせるための手立ては、他人任せにせず、自分自身が動き始めなくてはならないと強く思うからです。
しかしながらその仕組みづくりには、老後に不安を感じる同世代だけでなく、おおぜいの力を結集しなくては実現しません。若い世代(特にそろそろ親の老後が心配になってくる世代)も含めひとりでも多くの参画と協働に期待しつつ、年始のご挨拶にかえさせていただきます。
(特定非営利活動法人都市生活コミュニティセンター理事長 林 佳子)
11月27日、ソーシャルコート神戸北では、毎年恒例の干し柿づくりの行事を行いました。都市生活の生産者である王隠堂農園さんのご協力を得て、400個の柿を軒先に吊るしました。食べごろは年明けの頃。楽しみですね。